オンチップの接続を行うための規格化されたバス
近年,半導体技術の進歩とともに,一つのLSI により多
くの機能が集積できるようになってきました.さまざまな
ハード・マクロとマイクロプロセッサを混載したシステム
LSI(SOC :system on a chip)が注目されています.シス
テムLSI の設計において,性能や機能,タイミング仕様な
どの問題を解析するには多くの時間を要しますが,規格化
されたバス(オンチップ・バス)を利用することでこうした
時間の短縮を期待できます.また,規格化されたバスを利
用すると,設計者は製品を差異化する作業に集中できます.
そのため,複雑なシステムLSI の設計にかかるコストや開
発期間を削減することが可能です.
米国IBM 社の「CoreConnect」 というバス規格
英国ARM社「AMBA」など.
AMBA →AHB,AXI,APBバス
IBM 社が発表したLSI チップ
内部のバス規格で,IP コアをチップ内でつなぎ合わせると
きのベースになるものです.
CoreConnect アーキテクチャ
PLB(Processor Local Bus):高速,広帯域,低遅延(レイテンシ)が必要なシステムコアに利用
OPB(On-chip Peripheral Bus):そうでないペリフェラルなど
バスブリッジ
DCR(Device Control Register):初期設定,ふだん変更shない機能を制御するために使用
PLB は高速ですが,すべてのコアをPLB に接続すると,
動作の遅いコアにひっぱられてしまい,動作の速いコアの
性能を発揮できなくなります.そこで,動作の遅いコアは
OPB に接続し,PLB とは別のバス・ブリッジを介してデ
ータ転送を行います.こうすることで,PLB 上のトラフィ
ックが抑えられ,システム全体の性能が向上します.PLB
とOPB は同期型バスです.DCR バスもベースは同期型バ
スですが,ハンドシェイクは非同期的な動きをします
ここで,本オンチップ・バスで使われる信号名の標準表
記方法について触れておきます(表1).その信号がどの部
分に使われているか,だれが出力しているかなどがわかる
ように,すべての信号にPrefix(接頭語)が付いています.
本オンチップ・バスがPCI などのボード間やチップ間を
つなぐバスと異なる点は,複数コアのコマンド,アドレス,
データ信号などをバス上で結線する方法にあります.PCI
などでは,バスをドライブしていないデバイスはI/O 出力
をハイ・インピーダンスにします.あるいは,オープン・
コレクタを用います.一方,本オンチップ・バスでは,複
数のドライブ信号をOR で接続します.言い換えると,バ
スをドライブしていないコアは‘0’を出力します.ドライ
ブするコアは,‘0’または‘1’をドライブし,それらをすべ
てOR してバス信号とします.
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